食品製造業の食品ロスとは?原因と対策方法・廃棄削減の工夫について解説

食品工場
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食品工場で発生する食品ロスをゼロにすることは不可能です。なぜなら、製造には機械トラブルやヒューマンエラーなどが付きものだからです。しかし、経営者からは「食品ロスを削減しろ!」と指示があり、頭の片隅で「そんなの無理だ」と諦めて、常に葛藤していませんか?

  • 「製造している以上、食品ロスは出るだろう?」
  • 「削減するにも方法がわからない・・・」
  • 「今考えられる対策はやりつくしたけど、他にも方法はあるの?」

実は、食品ロスをゼロにはできませんが、減らすことはできます。その方法とは、仕入れ方法や製造工程の見直し、リードタイムの調整、消費期限の延長方法、取引先に納品できない商品の受け入れ先の確保などを行うことで解決できます。

私は、地元の食品工場に17年勤務し、営業以外のすべての業務に従事した経験があります。

この記事を読めば、食品工場の食品ロス削減方法と発生原因がわかります。そして、この期の内容を実践すれば食品ロスの削減も可能です。

ぜひ最後まで読んでいただき、自社の食品ロス削減に役立ててください。

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食品工場の食品ロス削減とは?

食品工場では必ず食品ロスは発生します。では、なぜ食品ロスが発生するのでしょうか?それは、食品を販売しているからです。その理由について詳しく解説します。

食品ロスとは

食品工場で発生する食品ロスとは「食べられるけど、国や取引先との間で決めたルールに従って販売できない商品」のことを指します。

国が決めたルールとは、食品衛生法です。この法律では「賞味期限」「消費期限」を設けており、次の違いがあります。

  • 賞味期限:設定期限を過ぎると当初の味ではなく、風味や味を損なうが食べられる
  • 消費期限:設定期限を過ぎると腐敗して食べられない

どちらの設定期限もメーカーが任意で決めることができます。任意と言っても、各メーカーは独自に微生物検査や風味・食味・見た目・変色など、さまざまな検査を科学的に行った上で、期限を設定しているので安心して食べられます

また、数年前まで消費期限は製造後7日以内と定められていましたが、食品ロスが叫ばれるようになり、消費期限は7日以内ではなく、メーカーが任意で設定できるように変更されています。

取引先とのルールとは、注文数、梱包形態、荷受け時間、搬送手順などです。どちらのルールでも、違反すると罰則があるので注意が必要です。

法律に違反すると、刑事罰や民事訴訟の原因になり、消費者に害が及ぶと運が悪ければSNSで拡散されて、会社の信用を失う恐れがあります。また、取引先とのルール違反を犯すと、取引中止や出入り禁止などの取り決めがあり、経営に影響を及ぼします。

食品ロス削減の重要性

食品ロスが減れば、ゴミの量や焼却時の化石燃料、焼却炉の維持管理費用などの削減ができます。また、SDGsの取り組みとして、地球温暖化対策にも重要な役割があります。

食品ロスは生ゴミとして処分場へ搬入されます。処分場では焼却炉で焼却しますが、その際に温暖化の原因でもあるCo2が排出されます。

このCo2排出を削減するには、根本でもある食品ロスを削減することこそ、地球温暖化対策に効果的であると考えられています。

そのため、食品ロス削減は食材をムダにしないことはもちろんのこと、地球温暖化対策としてSDGsに取り組むためには必要不可欠であり、とても重要な対策です。

食品ロス削減が企業に与えるメリット

食品ロスを削減すると、以下のメリットがあります。

  • 廃棄処理費用にムダな経費を使わなくて済む
  • 製造した商品がロスなく販売できればムダな仕入れが減る
  • 仮で置いている廃棄物スペースを削減できる
  • 販路を拡大すると収益の増加が見込める
  • フードバンクなどへ提供すると社会貢献できる

社会貢献をすれば会社の信頼度も上がり、廃棄量が減れば処分費用も削減でき、結果的に会社の利益につながります。

食品工場で発生する食品ロスの原因10選

食品工場ではさまざまな要因で食品ロスが発生します。廃棄する食材や消費期限内に出荷できなかった商品、配送中に破損した食品など、主な項目に分けて解説します。

食品製造業における食品ロスの主な原因

食品工場で発生する食品ロスの主な原因をご紹介します。

食材・原材料の過剰発注

食材や原材料を過剰に発注すると、使用期限内に使いきれなくて廃棄します。例えば、次のようなケースで起こります。

  • 適正な必要数を把握しないで発注した
  • 在庫切れが怖くて、多めに発注した
  • 発注数量を間違えた
  • 原材料を発注したあとに受注のキャンセルがあり、過剰在庫になった
  • 取引先から発注ロットの変更があり、1回の発注が大幅に増えた

故意に行う人はいませんが、在庫切れが不安で多めに発注したり、物流費の兼ね合いで発注ロットが変更になったりすると、結果的に過剰発注になります。

見込み製造

見込み製造を行うと期限内に出荷・販売できなければ廃棄するしかありません。そのため、食品ロスとなり、会社の売り上げも減少します。

しかし、食品工場において見込み製造は一般的に行われています。そのため、いかに適正で最小限の見込み製造を行うかがポイントです。

もし、見込み製造品が残るようであれば、別の取引先を探すことをおすすめします。

例えば、市場や量販店では通常の価格では販売できませんが、原価割れギリギリの価格で引き取ってもらえる可能性はあります。ただし、納品ロットもそれなりに大量でなければ契約してもらえないので注意が必要です。

予期せぬ注文のキャンセル

製造していると予期せぬキャンセルは付き物です。キャンセルが発生すると在庫となり、期限内に出荷・販売できなければ廃棄します。

予期せぬキャンセルで廃棄しないためには、キャンセル時に対応できる対策が必要です。

例えば、キャンセルが発生したときに供えて、新しく販路を開拓するとか、消費期限を延ばせる包材や食材に切り替えるなどの方法があります。

機械トラブルによる食材の廃棄

機械トラブルは突然起こります。一度機械トラブルが起こると製造中の食材がすべて使えないので廃棄します。

例えば、機械でインスタントラーメンを製造しているとします。製造中に機械トラブルで機械が止まると、ライン上にある食材および製品が茹ですぎたり、揚げすぎたりするので正規の商品として使えません。

そのため、日々の機械点検は重要です。異変や違和感があるときには、すぐに上司に相談し、製造を中止して機械点検を行うことで食品ロスを回避できます。

ただし、出荷に間に合わせるため、製造調整は必須です。

過剰在庫による消費期限切れ

食品工場では出荷に間に合わせるため、あらかじめ在庫のお見込み製造を行うことがあります。

例えば、翌朝6:00出荷の場合には労務管理上、作業員がそろわないことがあります。または工場の経費を抑えるためや近隣住民への騒音被害を回避するため、早朝・深夜に製造を控えている工場もあります。

こうした状況で早朝の出荷がある場合には、見込みで在庫を製造します。

ただし、作り過ぎると過剰在庫となり、期限内に出荷・販売できなければ消費期限切れを起こし、廃棄するしかないので食品ロスとなります。

保管用の冷蔵庫・冷凍庫の故障による廃棄

要冷蔵・要冷凍の商品を製造していると、冷蔵庫や冷凍庫で保管します。

もし冷蔵庫などが故障した場合には、庫内の温度上昇に伴い、保管している商品や食材が腐敗する可能性があります。そのままの状態では出荷・販売できないので廃棄します。

配送途中での運搬車のトラブル

配送は自社配送や委託業者に配送を依頼しますが、配送途中の事故や荒っぽい運転によって庫内の商品が破損、腐敗する可能性があります。

ときには配送車の冷蔵・冷凍装置が故障して、庫内温度が上昇して商品が腐敗する可能性もあります。

対策として、日頃から車や庫内装置の点検やメンテナンスが必要です。特に庫内の温度管理が重要で、商品を積み込むとき・配送中・納品先で商品をおろすときの庫内温度を記録しておく必要があります。

そうすることで、万が一、腐敗によるトラブルが発生した際の状況証拠として取引先やお客様に提示できます。

搬入時間遅れによる荷受け拒否

配送センターや物流センター、直接店舗に納品する場合など、納品時間が決まっています。そのため、急いで届けても、納品時間に遅れると納品を拒否され、欠品扱いになることが一般的です。

対策として、納品時間に遅れないように製造計画を立てることと、配送ドライバーにも時間的な余裕を持って配送してもらうことが大切です。

受発注システムのエラー

受発注システムのエラーによっても食品ロスは発生します。

なぜなら、システムエラーが発生すると、受注数量がわからないので見込み製造になり、万が一キャンセルになると廃棄する可能性があるためです。

受発注システムのエラーは落雷による停電、サーバーのダウン、システム入れ替え時の更新エラーなど、さまざまな要因が考えられます。そのため、通常のシステム作業以外のことを行う際には、細心の注意を払い、バックアップ対策などを行う必要があります。

ヒューマンエラーによる製造指示ミス

製造計画は受注数量と見込み製造を含めて計画します。すべてが自動で計画している工場はあまりなく、ほとんどの工場は担当者が計画しています。そのため、入力ミスなどのヒューマンエラーが起こると、過剰に製造して期限内に出荷・販売できず、廃棄する可能性があります。

対策として、製造計画を担当している人だけではなく、製造担当者も製造前には指示に間違いはないかチェックすることで未然に回避できます。

食品ロス削減の具体的な対策方法

食品ロスを削減することはSDGsに貢献することにもつながります。日本の食料自給率は、農林水産省の発表によると38%で先進国の中では最低の水準となっています。

自給率が少ない上に食品ロスが増加することは国内でムダなお金が散財されていることでもあります。そこで、食品ロスを削減する具体的な対策方法をご紹介します。

食品ロス削減に効果的な製造工程の改善

食品工場において食品ロスを削減することは自社の利益にも還元できます。よって、どの工場でも経費削減と同じくらい真剣に取り組んでいます。

まずは、製造工程の見直しを行うことで改善できます。

  • 製造ラインで食材がムダに扱われている場所はないか?
  • 製造機械に不具合はないか?
  • 適切に食材や原材料を扱っているか?または保管しているか?
  • 食材の温度管理は適切に行われているか?
  • 製造に時間がかかり過ぎている工程はないか?
  • 簡素化できる工程はないか?

これらの内容を見直すことで、食品ロスは削減できます。

食品ロス削減の調理法や販売段階での工夫

食品ロス削減を行うためには、調理法や販売方法を工夫することでも削減できます。

なぜなら、調理段階で廃棄する部分が多かったり、販売方法が限定されていたりすると食品ロスが増加するからです。

例えば、野菜をカットする際に皮まで使える無農薬野菜に切り替えるとか、販売先をスーパーだけでなく、ネット販売や市場、無料で引き取ってもらえる子供食堂など、広い視野で販路を拡大すると食材ロスは削減できます。

食品ロス削減のための販売期限管理と在庫管理

食品ロスは販売期限と在庫管理を適切に行えば削減できます。

理由として、消費期限や賞味期限が延長できれば、それだけ販売期間も延長できます。また、在庫管理が適切に行われていれば、過剰在庫や在庫の見落としによる過剰製造も回避できるので、結果として食品ロスの削減につながるからです。

例えば、数年前から保存期間の延長が見込める包材の開発や、ドライ製法による期間延長などが食品業界で話題になっています。

しかし、どちらも価格面が高く、安価な商品を製造している工場ではなかなか採用されない傾向にあります。

また、在庫管理は人が行っている工場がほとんどで、どうしてもヒューマンエラーが起こります。在庫数量を数え間違えたとか、記入ミスがあったなど、回避する方法を考えなければなりません。

フードバンクを活用した食品ロスの削減方法

出荷や販売できないケースが多いとそれだけ食品ロスが増加します。その場合はフードバンクと契約して食品ロスを削減する方法もあります。

フードバンクへ提供すれば、食品ロスも削減できるうえに、福祉施設などで食材に困っている人たちにも喜ばれるので一石二鳥です。

工場運営の面からみると、少しでも利益になるように販売する方が良いのですが、食品ロスの観点からすると、少しでも食材をムダにすることなく、多くの人々に食べてもらった方が喜ばれます。

また、廃棄するにも工場で使用した食材や商品は、産業廃棄物として扱われるので、処分にも費用がかかります。このことを考えると、廃棄するより無料で提供した方がメリットがあります

食品製造業で発生する食品ロス削減のための課題とは?

食品工場では食品ロス削減のため、さまざまな取り組みを行っています。しかし、思ったような削減が行われていないのが現状です。そこで、食品工場が抱える食品ロス削減に関する課題を解説します。

食品ロス削減における課題と解決策

食品工場が抱える食品ロス削減に関する課題とは主に次の通りです。

  • 環境負荷や資源の無駄遣い
  • 廃棄処分場で熱処理する際に排出されるCo2による地球温暖化問題

食品ロスを削減すると環境問題に配慮した対策にもつながります。地球温暖化が叫ばれている中、「まだ食べられるのに」「食べ残してしまった」「配合を間違えて原材料を廃棄した」など、さまざまな理由で食材は廃棄されています。

食材を廃棄したあとの処理方法を考えることで、食材ロス削減への取り組み方が変わります。将来の子供たちのために今できることに取り組みましょう。

食品ロス削減のエビデンスと効果

食品ロス削減のエビデンス(根拠)は、食材をムダにしないことと、廃棄物処理時に発生するCo2排出による地球温暖化の問題があります。

食品ロス削減はSDGsにも掲げられており、地球温暖化を食い止めるためには欠かせない取り組みです。

また、食品ロスは工場だけでなく、各家庭でも起こります。工場は1回の廃棄量が多いので注目を集めますが、一家族が毎日1㎏の生ゴミ(食品ロス)を出すとして、約55,000世帯で計算すると毎日55トンの生ゴミ(食品ロス)が発生していることになります。

(参考:国立社会保障・人口問題研究所

1年間にすると毎年2万トンとなり、1Lの牛乳に換算すると2,000万本廃棄している計算です。

身近なものに置き換えると、えらいことに気付くはずです。

また、食品ロスが減ると次の効果が期待できます。

  • 必要以上に食材や自然にある資源を採取する必要がない
  • 焼却時の化石燃料を削減できる
  • 焼却時の維持管理費の削減
  • ムダな支出が減らせる

限りある資源や不必要な食材採取の削減など、ムダな支出を抑えられると食材以外に必要なものを購入できるため、新たな経済効果が期待できます。

食品ロス削減に向けた業界全体の取り組み

食品ロスは世界中で取り組んでいますが、食品業界として次のような取り組みを行っています。

企業名取り組み内容
キューピー株式会社食品ロス削減のためのメニュー提案卵の100%有効活用
ブルドックソース株式会社生産者支援規格外農産物であるキャベツの買い上げ
株式会社Day1生産者支援規格外農産物であるキャベツの買い上げ
国分グループ株式会社自社商品の賞味期限の延長開発
株式会社マルエツフードドライブ(家庭で余っている食材を店舗に持込んでもらい、フードバンク団体などに寄付する)活動を開始
セブン&アイグループ食品リサイクル率を2030年までに70%、2050年には100%にする食品廃棄物量を2013年と比較して2030年までに50%削減、2050に70%削減する
スターバックスコーヒージャパン株式会社2021年8月からフードロス削減を目指すプログラムをスタート
株式会社クラダシショッピングサイトでフードロス削減と社会貢献活動を同時に行う

食品ロスの約半分は食品工場から排出されているので、食品工場が削減に取り組めば、かなりの効果を期待できます。

まとめ:食品製造業の食品ロスとは?原因と対策方法・廃棄削減の工夫について解説

今回は「食品製造業の食品ロスとは?原因と対策方法・廃棄削減の工夫について解説」というテーマで解説しました。

食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄してしまうことで、世界中には食べたくても食べられない人々が大勢います。そんなグローバルな話をされてもピンとこない人でも、地球温暖化が進んで毎年真夏日が増加傾向にあることは感じているはずです。

温暖化が進むにつれ、環境の変化によって植物の生育不足などが起こり、現在食べているものが普通に食べられなくなる可能性もあり、身近な問題に直面しています

特に食品工場に勤めている人などは、今までとは意識を改めて食品ロスに取り組む必要があります。「自分一人がやっとところで何が変わる」と思わず、自分から率先して取り組む姿勢を持つことが大切です。