食品製造業の効率化とは?方法やメリットを解説

食品工場
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食品工場の効率化で頭を抱えている管理者の人は、次のような悩みを抱えていませんか?

「どこから手を付けていいのかわからない」
「予算をかけずに効率化しろと言われても、どんな方法があるのかわからない」
「現場作業員の悩みを解消すれば、効率化したことになるの?」

工場長や責任者の人は、常に効率化やムダをなくす方法を模索していると思います。

実際に私が勤務していたときも同じように、経営者から「経費を削減できる効率的な方法を考えろ」と常にいわれていたので、痛いほど気持ちはわかります。

私は現在WEBライターとして活動していますが、数年前まで中小企業の食品工場に勤務しており、17年間の経験があります。現場のたたき上げから責任者になり、工場の効率化に取り組んでいた経験を基にご紹介します。

この記事では、食品工場の効率化に関する考え方や方法、具体例を交えて解説します。そして、この記事を読めば、すぐにでも取り組める効率的な方法を知ることができるので会社に貢献できますよ。

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食品工場における効率化とは

食品工場における効率化とは、ムダな現場作業を改善し、製造原価を抑えて会社の利益を上げることです。

「いやいや、従業員の不満を解消して、少しでも働きやすい環境を整えるためでしょ?」と言われる人もいますが、結論から言えば会社の利益を上げるためです。

厳しいことを言いますが、効率化を図る上での方法や考え方の一つとして「作業環境を整える」項目があるだけで、本質的な目的ではありません。

効率化を図るためには方法がいくつかありますが、以下の項目によって異なります。

  • 工場の規模や売上
  • 仕入れ先との関係性
  • 業務形態
  • 取り扱っている食材
  • 導入している機械設備の新旧
  • 従業員数
  • 各業界の協会や組合への加入状況

機械を入れ替えるといった端的な効率化もあれば、人間関係などが複雑に絡み合い、その人間関係の上に成り立っている効率化もあります。

食品工場で効率化を行う目的とは

食品工場で効率化を行う主な目的は、会社の利益を上げることです。なぜなら、利益を上げる必要がなければ、現状のままでも問題ないからです。

例えば、製造原価1個100円のおにぎりを作るとします。製造原価には原材料や包材、人件費、水道光熱費などが含まれています。

製造原価の基準となる作業時間、水道高熱費、人件費などは本格稼働をする前に誰かが計測しているはずです。そうしなければ製造原価は計算できません。

この場合、1個作るのに基準を1分としている場合、3分かかると経費は3倍です。そうなると製造原価は高くなって利益は減ります。

「いや、うちの会社は人情を売りにしているから、経費は気にしないよ」という会社は儲からないし、言い方を変えればボランティアのようなものです。

営業としても販路拡大や納価の値上げ交渉など、取引先との攻防を繰り広げていますが、営業と取引先の担当者との人間関係や、魅力的な商品を提供できなければ困難です。

営業と工場の間でよくある問題として、営業は数名の少数精鋭、工場は何十人何百人という人がいる。それだけムダな製造をしているのではないか?という内容です。

そうなると、どうしても人数が多い工場へのアタリがきつくなり、「ムダを削減して効率的な製造をしろ」と経営者から指示が出ます。

「そんなことを言われても、十分やっていますよ!」と心の叫びは痛いほどわかります。

実際、私は本社の幹部連中がいないときに、声に出して叫んでいましたよ。工場の雰囲気が良かったのが救いですけど。

でも、利益を上げろと言われても、何をどのように効率化すれば利益に還元できるのか分かりませんよね?

次の章で効率化できる方法をご紹介します。

食品製造業における効率化の方法

食品工場における効率化の方法として、2つの側面からアプローチする必要があります。

それは「人件費」「製造コスト」です。それぞれ、効率化を検討する際に必要なポイントと理由を解説するので参考にしてください。

人件費に関する効率化

人件費に関する効率化とは、作業員の能力や給料のことです。そして、効率化を図るポイントとして、以下の内容を熟考して検討してください。

検討するポイント検討理由
適正な人数なのか?適正な人数を確保できなければ、作業員を鼓舞したり、残業したりすればその場はしのげるが継続できない
個人の能力値は高い?低い?個人の能力値によって作業効率は異なる
能力の高い人は効率的で作業が速く、低い人は非効率的で作業が遅い傾向にある
作業者は熟練?新人?熟練者は作業になれているので作業が効率的、新人は不慣れなため作業効率がよくわかっていない
正社員・パート・アルバイト・派遣社員就業形態によって給料が異なるので、モチベーションに影響するパート・アルバイトでも社員並みに働く人がいる
逆に社員でもアルバイトに劣る人もいる特に派遣社員はパート・アルバイトの時給よりも高い契契約料を派遣会社に支払っているため、会社は派遣社員にしっかり働いてもらうように工場へ指示を出す傾向にある

人件費で注意する点は効率性を意識し過ぎると、契約内容と異なった作業を強いることもあります。

例えば、パートでトッピング作業員として契約していたとします。個人の能力が高いと、悪気はないけどトッピング以外の作業も依頼します。

この場合、給料として反映していれば当事者間の問題は起こりません。しかし、昇給もせずに使っていると、モチベーションが下がり、作業効率にも影響が出ます。

状況が悪化すると、退職する可能性もあるので注意が必要です。

また、派遣社員と正社員・パート・アルバイトの関係も同じです。自分より高い給料をもらっているのだから、もっと働いてほしいという不満が出ます。そうなると、工場全体の作業効率にも影響を及ぼしかねません。

ことわざに「人を使うのは苦を使う」という言葉があるように、人に依頼するのは楽なので不用意に仕事を頼みがちですが、実は気苦労が絶えないというたとえです。

自分の楽を優先したことが裏目に出て苦労する羽目に合い、結果的に作業効率を低下させる要因にもなりかねません。そのため、人件費に関することでテコ入れする際には十分注意しましょう。

製造コスト

製造コストに関する内容で効率化ができれば、人件費以上の利益を得られます。なぜなら、人件費に比べて製造コストは容易にテコ入れが可能だからです。

人件費は毎月、毎年決まった経費、もしくは、現行以上の経費がかかります。一方、製造コストは機械の性能や作業環境によって、ランニングコストを軽減できる可能性があります。

製造コストとは、製造に関する費用のことで、以下のポイントを参考に効率化を検討しましょう。

検討する内容検討理由
機械の入れ替え高性能、高機能タイプか製造能力はアップしているか
既存の機械は老朽化して製造能力は落ちていないか
新規製造ラインを増設しなくてよいか
(他多数)
工場の設備投資・改修製造に欠かせない設備・建屋は老朽化していないか
地下水の汲み上げポンプや冷却装置などの能力は低下していないか
排水処理設備の曝気槽(ばっきそう)ポンプは正常に作動しているか
空調設備は正常に作動しているか、ガスは抜けていないか
(他多数)
作業工程の改善・見直しムダな工程はないかムダに人が多い工程はないか
省略・簡素化できる工程はないか
ムダな動きをしている工程はないか
原材料の搬入~製造~商品保管~出荷までがスムーズに流れているか
(他多数)
人が行き交う動線の見直し出社~着替え~作業場~退社までの動線にムダはないか
トイレに行くまでの動線にムダはないか
マスクや手袋などはすぐ手にできる位置で保管しているか
通路や階段に不要物を置いていないか
エアーシャワーや作業靴の洗い場などは複数で利用できるスペースを確保しているか
製造に必要なものを取り行くまでの距離が遠くないか
フォークリフトが往来する場所に人が容易に立ち入ることはないか
通路はすれ違っても肩がぶつからないだけのスペースを確保しているか
(他多数)
製造に必要な備品の管理方法備品は適切な場所で保管・管理されているか
掃除道具は汚いからといって、製造現場から離れ過ぎた場所で保管していないか
製造に必要なカッターナイフや調理器具など、すぐに使える状態にあるか
(他多数)
冷蔵庫・冷凍庫の管理費用冷却装置は正常に作動しているか
扉は故障していないか
扉の開閉ルールは守られているか
霜取りは定期的に行っているか
設定温度で管理できているか
温かい状態で保管していないか
製造ラインの機械・作業場などの清掃に関わる機械器具洗浄機や清掃道具は衛生上問題なく、手軽に用意できる場所に保管しているか清掃に必要な薬剤などは適正に保管しているか
製造計画書製造計画書の内容が見づらくないか
リアルタイムで追加・訂正・キャンセルを確認できるか

上表は、すべてを網羅するとかなりの文字量になるので主なポイントをご紹介しております。

上表のように、製造に関するあらゆるものが製造コストに含まれるので、ポイント絞って効率の良い方法を検討してください。

また、産業機械や精密機械を製造している専用ロボットを食品工場に用いると、人件費はかかりませんが数千万円~億単位の設備投資が必要です。

さらに、ロボットは安全基準が厳しく、作業範囲外に柵を設けます。そのため、かなりスペースにムダがあります。

ロボットの導入を検討している人に知ってもらいたいことは、基本的にロボットの可動範囲に人は立ち入り禁止です。そのため、ロボットだけで製造することを前提としたレイアウトを考える必要があります。

よって、ロボットを導入するときは、工場新設時や建て替え時に検討することをおすすめします。

また、上表でご紹介した検討内容を一度にすべて行うことは金銭的、時間的にも困難です。もっと言えば、効率を追い求めても正解はありません。改善すれば一時的に満足しますが、時間の経過や世の中の流れとともに新たな効率化を求められます。

そのため、食品工場で効率化を行う場合には、急務な場所を除き、お金をかけずにできるところから実施する方法がベストです。

例えば、機械洗浄に使用する高圧洗浄機を例に挙げて解説します。高性能の業務用高圧洗浄機は1台数十万円しますが、洗浄が3時間で終わったとします。

一方、性能が低い洗浄機を使用すると、洗浄に6時間かかった場合で比較すると、倍の時間が必要です。結果として3時間余分に人件費を支払わなければならず、作業員の負担も大きいです。

効率化の方法と具体例

食品工場で効率化を図るには、状況・場所によって方法はさまざまです。

例えば、私が勤務していた頃にできなかった効率化を例に解説します。

作業状況を簡単に節系すると、基本的に事前受注ですが、一部の取引先は当日受注で製造しており、受注管理を行う事務員と製造現場への連絡は内線を使ったアナログの方法でした。

そのため、事務員と製造を早く終わらせたい作業員はいつもケンカ腰でやり取りをしており、雰囲気はあまり良くなかったです。

また、製造は見込み製造を行っており、計画的に製造できない作業員と、気分を害される事務員の双方から、毎日のようにどうにかできないかと相談を受けていました。

そこで、現場に病院の受付番号表示のようなモニターを設置して、リアルタイムで受注状況を確認できれば問題を解決できる上に効率化が図れると考えました。

しかし、現場は湿気があるので現実的に設置は難しく、断念しました。

このケースは数百万円程度の費用がかかるケースなので、無料で行える効率的な方法を2つご紹介します。

無料で行える効率化:ケース1

作業員の配置換えを行うだけで効率化を図れます。例えば、2人1組で作業を行う場合には、手の速い人と遅い人がダッグを組むと時間的にバランスを崩します。

改善方法として、同じ速さの人同士を組ませることでバランスが良くなり、効率的に作業できます。また、同じ速さで作業できると作業員も相手に苛立つこともなく、気持ちよく作業できるメリットもあります。

無料で行える効率化:ケース2

商品が流れるベルトコンベアの高さを作業員の高さに調整するだけで、体への負担を軽減できるので作業効率も向上します

作業員は楽な姿勢で作業できるため、作業が速くなるので時短になり、結果として作業効率が改善されます。

食品工場で効率化をするメリット

食品工場で効率化をする一番のメリットは、利益に還元できることです。そのほかにもメリットはあるので詳しく解説します。

利益還元以外に主なメリットは以下の通りです。

  • 作業が早く終わる
  • 人件費を含む経費を抑えられる
  • 機器のメンテンスを日々行うことで機械トラブルを抑えられ、計画通りに作業できる
  • メンテナンス時に故障やトラブルに気付けば、修繕時間も短く費用も安い
  • 優秀な人材を雇えば効率的に作業するし、改善提案をしてくれる

デメリットはありませんが、注意すべき点がいくつかあるのでご紹介します。

  • 機器の性能が良くなればなるほど高額
  • ハイスペックになれば扱いが難しい機器もあり、担当者が対応できない可能性がある
  • 機械トラブルや故障に気付くのが遅れると、修繕期間も長く、費用も高額になる
  • 優秀な人材を雇う場合は、人件費が高額になる傾向にある
  • 熟練者を定年だからと安易に辞めさせるのは、非効率につながるケースがある

効率化はメリット重視で行って問題ありませんが、費用がかかる効率化もあるので改善内容を精査してから取り組みましょう。

まとめ:食品製造業の効率化とは?方法やメリットを解説

今回は、食品製造業の効率化について解説しました。

食品工場で効率化を図ると、機械的な効率化は主に機械性能によって左右され、作業内容を効率化するには、作業員の能力度合いや熟練度によって異なります

また、設備投資や建屋の修繕、機械の入れ替えなど、まとまった予算がなければ効率化できない内容もあります。

まずは、無料でできる改善から行い、従業員の作業環境を改善して気持ちよく働いてもらいましょう。そうすれば、従業員も協力的になり、工場が一丸となって効率化に取り組みやすくなりますよ